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上司や経営者に退職を申し出たのに受け入れてもらえない。退職届を提出したのに受理されない。そんな時、どうしたら良いでしょう。
人間関係のトラブルやストレスなどで、衝動的に退職を申し出る場合もありますが、退職は人生の大きな岐路になりますから、通常は、しっかりと考えた上で決断しているはずです。
それなのに退職届を受理してもらえないと、精神的なダメージも大きくなります。退職は次の進路に向かう第一歩であり、そのスタートから躓くことは避けたいものです。
そこで、退職届が受理されない時の対処法について、まとめました。
1.退職について理解する
退職届けが受理されない、退職の申し入れを拒否された。このように思い通りに物事が進まない時には焦ってはいけません。適切に対処するためには、まずは落ち着いて、退職について理解しましょう。
①退職の申し入れについて
退職とは、会社と交わした労働契約を解除する事です。これは口頭でも行う事ができます。つまり、会社に退職する事(労働契約を解除する事)を伝えれば良いのです。
しかし、言った言わないなど、後で問題になる場合があるため、書面で伝える、つまり退職願や退職届を提出するのが一般的です。
また、退職には様々なケースがあります。一時的な感情により勢いで退職を申し出る事や、曖昧な表現で伝えたり、退職を迷っている場合、本気なのか冗談なのかわからない場合もあるかもしれません。
受け取る側もこれでは困りますから、会社としても正式な意思表示として退職願や退職届の提出を求めるケースが多いです。
②退職願と退職届の違いについて
退職願は文字通り、会社に対して退職を願い出る、退職を打診する時に提出します。これに対して会社が承諾する事により、退職が成立します。
退職願に対して、会社が雇用条件を変更するなどの対応を行い、その結果、退職を取りやめる場合もあります。そのため、退職願いは撤回ができます。
それに対して、退職届は退職の意思を届け出るものです。これは労働契約の解除を申し出る事であり、撤回ができません。
このように、退職願と退職届はよく似ているものの、その取り扱いは異なります。まずは、退職願と退職届の違いを理解しておきましょう。
③退職に関する法的な扱い(民法第628条、第628条、労働契約法第17条)
労働者が退職の申し入れをした場合、期間の定めの無い雇用契約であれば、使用者の承諾の有無に関わらず退職できます。これは民法により定められていますが、雇用契約により退職できる日が異なります。
期間の定めの無い雇用契約の場合、日給制や時給制に場合は、退職の申し入れから2週間後、月給制の場合は、退職の申し入れが月の前半(~15日)であれば月末、後半(16日~)であれば翌月末になります。
また、年俸制の場合は、退職の申し入れから3ヶ月後になります。
これに対し、期間の定めの有る雇用契約の場合は、やむを得ない事由がある時は雇用契約を解除できますが、相手に対して損害賠償の責任を負います。使用者も雇用期間中は一方的に解雇する事はできません。
ただし、労働者が退職を申し入れ、使用者が承諾すれば雇用契約の期間中でも退職は可能です。
このように、雇用契約の内容によって、退職できる日が異なりますので、まずは、自身の雇用契約をよく確認しましょう。
2.円満退職に向けて努力する
会社や上司が退職届を受理しない、退職の申し入れを拒否するのには、必ず理由があります。
理不尽な嫌がらせの場合は別ですが、退職の理由が納得できない、説明が不足している、身勝手な申し入れになっているなど、退職を申し入れた労働者側に原因がある場合もあります。
その場合は、その原因を解消する事で、会社や上司の対応が変わる可能性があります。退職をスムーズに進める為にも、在職中にお世話になった同僚や先輩・後輩の為にも、できるだけ円満退職になるように努めましょう。
①退職理由を理解してもらう
まず、退職理由がしっかりと伝わっているのか、確認しましょう。
従業員の退職は、会社にとっては仕事の戦力を失う事であり、目の前の仕事に支障が出る事だけでなく、将来の部門の運営や事業計画にも影響する場合があります。
これまでに費やしてきた教育や研修などの投資も失う事になりますし、他の従業員に精神的な影響を与える可能性もあります。退職は退職を申し入れる側だけでなく、受け入れる側にとっても重要な事です。
また、退職理由によっては、職場環境や業務内容など、自社の改善が必要になる事もあるでしょう。上司の立場で考えると、部下の退職について、その上司や経営者に報告しなければなりません。
このように、退職理由は上司や会社にとって、とても重要なものです。
退職理由だけでなく、物事を正しく伝える為には、要点をまとめる事、言葉の選び方、伝えるタイミングなど、様々な要素があります。
これらの事を踏まえて、退職の理由をどのような言葉で、どのような場所で、どのようなタイミングで上司に伝えたのか、伝えた時の上司の反応を振り返ってみましょう。
それで不備があると感じたら、もう一度、しっかりと退職理由を伝える努力をしましょう。
②引き継ぎの段取りを行う
従業員が退職する時、上司や会社が真っ先に考えるのは、その仕事の段取りです。退職によって、1名分の労力が失われます。それにより、人材を補充したり、他の従業員に仕事を振り分けるなどの対応が発生します。
これが、会社の業績に大きく影響する場合や、業務に支障が出る仕事であればあるほど、その段取りは難しくなります。その場合、上司や会社は退職をできるだけ引きとめようと考えます。
そこで、予め、仕事の引き継ぎの段取りを行う事ができれば、退職が受け入れやすくなるでしょう。
具体的には、業務の手順を整理し、マニュアル化しておく事、業務の効率化や簡素化を進めておく事などが挙げられます。
また、引き継ぎのスケジュールや仕事を引き継ぐ相手、引き継ぎに関する注意点などをまとめて、退職の申し出と同時に伝える事も良いでしょう。
仕事の引き継ぎや次の体制に関する不安や問題点を取り除く事ができれば、上司や会社も退職を認めやすくなります。
何より、お世話になった職場に対して、自身の退職後に迷惑をかけないという心配りは、社会人としてのマナーと言えます。
③時期を変更する
会社には繁忙期や閑散期など時期によって仕事の量に差がある場合があります。また、組織や体制が変わった時、従業員の入れ替え、新しい仕事が始まる時などは、仕事量が増加しやすいものです。
忙しい時に人手が減る事は誰でも避けたいと思うものです。そのような時に退職を申し出ても、普通は簡単に受け入れてはもらえないでしょう。
職場に退職者が出ると、その仕事の引き継ぎや新たな従業員の採用などの仕事が増えます。これが繁忙期であれば、職場や上司の負担は更に大きくなります。また、忙しい時には冷静に物事を判断する余裕が無いものです。
それが、退職届を受理しなかったり、退職の申し出を拒否する原因になっている場合もあります。
そのため、繁忙期を避ける、業務の引き継ぎ期間を考慮して退職日を設定するなど、退職はできるだけ職場の負担にならない時期を選ぶことも大切です。
退職届が受理されない時は、時期を変更してみるのも良いでしょう。
次の就職先が決まっているなど、退職日を変えられない時は、会社との交渉やトラブルが起きやすくなります。それを避けるためには、会社や業務の状況を考慮し、計画的に退職の準備を行う事が大切です。
3.退職届を出し直す
退職の申し入れは労働契約を解除したいという意思表示であり、職業選択の自由は憲法でも保証されています。つまり、法的にも退職の申し入れを拒否する事はできません。
退職届が返却されても、退職の申し出を拒否されても、その意思表示が会社に伝わっていれば有効です。しかし、会社に意思表示した事を客観的に証明する必要があります。
そこで、配達記録付きの内容証明郵便で退職届を提出する方法もあります。この場合、退職届を提出した事、相手に意思表示した事を確実に証明できます。
しかし、これはあくまでも退職届を受け取って貰えない場合の最終手段です。基本は退職届は直接提出する事、提出する前に口頭で報告する事を忘れないようにしましょう。
また、退職願を提出したり、口頭で退職を申し出て拒否された場合は、退職届を改めて提出します。
その場合は、退職届の中に「平成○○年○月○日に上司である○○さんに申し出たとおり(退職願を提出したとおり)、一身上の都合により・・・」などと、先に申し出た事実を記載します。
これにより、正式に退職の意思表示を行う事になります。尚、退職届に記載する退職日、提出する時期、手順については、就業規則に従います。まずは、自社の就業規則をよく確認しましょう。
まとめ
退職の申し入れは法的にもそれを拒否する事はできません。つまり、退職届が受理されなくても、退職の申し出を拒否されても、退職できない事はありません。
そのため、例え退職届が受理されなくても焦る事はありません。大切なのは、何故、受理されないのか、その理由です。それが理解できれば、解決策は見いだせます。退職には大きな労力が必要です。
できるだけ円満退職できるように、冷静に対処しましょう。
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