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転職活動は、勤務先の退職後に行う場合がありますが、その際志望先との面接で退職理由を聞かれます。なぜそれを聞かれるのかは、面接官の立場で考えるとわかります。
面接官からすれば、入社後に前向きな姿勢で仕事に取り組んでほしいに決まっています。また組織で仕事をする以上、職場の人と円満に関係を築いてほしいはずです。
さらに、嘘をついたり、面倒なことから逃げたりせず、誠実な態度で仕事や周囲の人に接する人であってほしいでしょう。
他にも、やたらと条件を持ち出すより、まずはやるべきことにしっかり取り組んでもらいたいものです。
要は「この人はウチでうまくやっていけるのか」という根本的な資質を知る一つの方法として、退職理由を問うわけです。前職を円満に退職できていれば、トラブルを起こさずに済むだろうと予測できるのです。
とすれば、面接を受ける側としては、面接官のその意図を汲み取って、その期待に応えられるように、退職理由を説明しなければなりません。
そこで今回は、転職の面接で退職理由を効果的に伝える方法7つをご紹介します。何をどこまでどう言えばよいか、どう伝えれば面接官の不安を解消できるか、ポイントを中心にご説明しましょう。
①仕事に対する前向きな姿勢を示す
転職の面接で退職理由を効果的に伝える方法の1つ目として、仕事に対する前向きな姿勢を示すことがあります。
会社を退職する場合、大抵は不平や不満があってのことでしょう。例えば、仕事内容が自分に合わない、ノルマが厳しい、やりたいことができないなどです。
確かにそれは事実でしょうし、そのような退職理由がすべて悪いとは言えません。
ただ、そうした不平や不満をそのまま面接官に伝えると、「この人はいつもこうやって文句ばかり言っているのか。きっとウチに来ても後ろ向きに仕事をして、すぐ辞めるのではないか」と思われるでしょう。
このような悪い印象を与えては、面接は通りません。そこで言い方に注意しましょう。例えば、営業担当者が研究開発の仕事をしたくなったものの、希望が通らず退職した場合を考えます。
などです。
このように、やりたいことができなかった場合も、希望が通るよう努力したなら、その前向きな姿勢を伝えます。そのうえで、会社で成長できたことに感謝しつつ、新天地で力を試したいといった、前向きな意欲をアピールします。
不平や不満は言わず、むしろ感謝の意を示し、そのうえでステップアップを目指す姿勢を示すのです。
そうすれば、面接官も「この人は不平や不満はあっても、それをプラスにとらえられる人だな」と好印象を持ってくれるはずです。
②人間関係を円満に築いていけることを示す
人間関係を円満に築いていけることを示すことも大事です。
どんな職場でも人間関係の不満はあるでしょう。例えば、同僚と考えが合わない、部下や後輩が言うことを聞かない、本部と意思の疎通が取れないなどです。
たしかにそれで病気になるくらいなら、見切りを付け、新天地を選ぶべきでしょう。
しかし、転職の面接で人間関係の不満を素直に言うのは問題です。面接官からすれば「この人はトラブルメーカーではないか。ウチに来ても人間関係で揉めて、仕事に支障をきたすだろう」と懸念されます。
そこで、この場合も伝え方に注意しましょう。人間関係で揉めた場合、自分に反省点があれば率直に認め、改善に向けた努力をしたならそこを説明します。
その結果コミュニケーションがうまく行った時期があれば、それも伝えましょう。
さらに、過去何度か転職していて、前職以外では人間関係で問題がなかったなら、それも述べましょう。それにより、自分の根本的な資質には問題がないことを示唆できます。
例えば「私の報告の仕方にも問題があり、上司に迷惑をかけたことは反省しています。そのうえで改善に努め、上司との意思の疎通も一時は円滑にいくようになりました」と、まずは自分の努力と関係改善の成果を説明します。
そのうえで「ただ上司にも、会社から指摘されるほどの問題がありました。そこで仕事への支障を避けるため、私の方から身を引くべきと判断しました。
なお、その上司との関係以外では、過去に問題はありませんでした」などと伝えましょう。
③やむを得ない事情は正直に話す
3つ目は、やむを得ない事情がある場合は正直に話すことです。
例えば、家族の介護などで退職せざるを得なかったとします。本来なら、働きながら介護できるのが望ましいのですが、会社の配慮が足りなかったり、家庭の事情があったりして、両立が困難な場合もあるでしょう。
また、夫婦で別の会社に勤めていて、夫が転勤になったとします。その際、夫の転勤先の地域へと、妻も人事異動してもらえればよいでしょう。
しかしその地域に支店や支社がなかったりして、妻が辞めざるを得ない恐れもあります。
いずれにせよ、本当は辞めたくないのに辞めざるを得ないこともあるでしょう。その場合は、自分のせいではないので、引け目を感じて隠す必要はありません。
ただし、こうした家庭の事情がある場合は、そもそもそれを配慮してもらえる志望先を選んでおくべきです。そのうえで自分も、現在は仕事には支障がない旨を伝える必要があります。
例えば「母親の介護に専念せざるを得ない状況になり、一旦仕事をやめることにしました。その後、介護施設への入居が決まり、仕事との両立が問題なく可能になったため、復職を決意しました」などと伝えるとよいでしょう。
④すべてを言わなくてもいいが、嘘はつかない
4つ目は、すべてを言わなくてもいいものの、嘘はついてはいけないということです。
上記のように、仕事や人間関係の不満、家庭の事情など、さまざまな退職理由があります。それらを伝える際の個別の注意事項は、今までお話した通りです。
ただいずれにせよ共通するのが、すべてを正直に言う必要はないということです。面接で退職理由を聞く目的は、冒頭でお話した通り「ウチの会社でトラブルなど起こさず、上手くやっていけるか」を知ることにあります。
とすれば、自分がトラブルメーカーではないことが伝われば十分なのであって、聞かれてもいないのに、わざわざ自分から不利になることや誤解を招くことを全部話す必要はないのです。
仮に人間関係の不満で退職する場合も、それは聞かれておらず、また前向きな理由が他にあるなら「より大規模な案件に携わり、自分の幅を広げ能力を高めたいので、退職し新天地を目指すことにしました」などと伝えるとよいでしょう。
ただ一方で、嘘はついてはいけません。自分の側に何か問題があり、その記録も残っているのに、自分に一切責任がなかったかのように言うのは不適切です。
仮に、不祥事を起こして退職に至ったのではないかと聞かれたら、「顧客からクレームを頂いてお詫びしたことはありますが、それは解決済みであり、退職とは関係ありません」などと、事実を言ったうえで問題ない旨伝えましょう。
仕事は信頼関係で成り立っている以上、入社後にその事実が発覚したら、自分への信頼は一気に失われます。嘘の内容と程度にもよりますが、結果として人事などで冷遇されかねません。
これらをふまえ、必要なことだけ言えばいいものの、それに関して嘘はつかないという点に気を付けましょう。
⑤条件面を強調し過ぎない
5つ目は、条件面を強調し過ぎないことです。
例えば、前の会社で、頑張って成果を上げたのに評価されなくて、処遇に不満があり退職したとします。たしかに、プロである以上適正な評価と処遇を受けることは大切です。
しかし、転職の面接でいきなりそうした条件面の不満を話し始めると、「この人はウチに来ても、すぐに条件闘争に持って行くのではないか」と、面接官に警戒されかねません。
そこで、この場合も言い方に注意しましょう。
「前職ではたしかに適正な処遇を得たとは言い難いです。ただ、それよりもさらなるキャリアアップの方が主要な退職理由です」などと、条件第一ではない姿勢を示しましょう。
そのうえで「御社に入社できましたら、まずは自分の役割を果たし、顧客と会社への貢献をすることに注力します。それにより、高評価を頂いて昇格昇給を認めて頂けるように努力します」などと述べましょう。
つまり、条件面の問題で退職したとしても、それは前面に出さず、条件で揉めるタイプではないことをさり気なく伝えるようにしましょう。
⑥表情や声のトーンなどにも気を付ける
6つ目は、表情や声のトーンなどにも気を付けるということです。
退職理由を聞かれた時に、暗くて沈んだ表情を浮かべて、自信なさそうに小声で答えていたら、面接官は不安に思うでしょう。
「この人は、何か後ろめたい事情でも抱えているのだろうか」と思われ、悪い印象を持たれかねません。
一方、引き締まった表情で、冷静沈着にはっきりと答えれば、面接官も安心するはずです。「この人は答えづらいことも、落ち着いて堂々と話せるのだな」と好印象を持たれるでしょう。
人が話をする時は、何を話すかはたしかに重要です。しかし、目や耳から得られる情報と、それによる印象は大きいものがあります。
同じ話でも、表情や声などによって、がらっと評価は変わってしまうものです。
その点を意識して、事前に練習しておきましょう。退職理由を聞かれた場合を想定し、鏡の前で話し、誰かにチェックしてもらいながら、堂々と伝えられるようにしましょう。
⑦退職回数の多さへの懸念を払拭する
最後は、退職回数の多さへの懸念を払拭することです。退職理由を効果的に伝える方法は、基本的には今まで見てきた通りです。
ただ、過去に何度も会社を辞めていると、いくら退職理由を上手く説明しても、「口先だけで、またすぐ辞めてしまうだろう」と面接官に思われかねません。
そこで、この場合は特に注意が必要です。ポイントは、退職理由に一貫性を持たせて説得力を強めることです。
つまり、長期的な視点に立って、一定のキャリアを構築するために、必要だから退職を重ねてきたのだと説明するのです。
例えば「私は経営コンサルタントとして一流になりたいと考えています。そこで、最初は事業会社の管理部門で、経営の基本を学びました。その後コンサル会社に転職し、コンサルティングの実務を幅広く経験しました」と述べます。
そのうえで「さらに、より大規模なコンサル会社で大きなプロジェクトに従事し、その後外資系コンサル会社でグローバルな案件も手がけました。そして、それらの経験をすべて生かし、今回事業会社の経営企画職に応募しました」と述べます。
このように、短期的には退職回数が多く目立ちますが、長期的には一貫したキャリアプランが感じられます。また、自分の意思で道を切り開く姿勢も見られ、逆に評価される可能性もあります。
なお、今回はすぐには退職せず、腰を落ち着けてじっくり仕事に取り組みたいという姿勢も示しましょう。そうすれば、「またすぐに辞めるのでは?」といった面接官の懸念も解消できるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
これまで、転職の面接で退職理由を効果的に伝える方法7つをご紹介してきましたが、どれか1つでもお役に立ちましたでしょうか。
退職時は、仕事内容などで不満がありがちですが、キャリアアップを図りたいなどと前向きな伝え方にしましょう。また人間関係の問題で辞めた場合も、今後仕事をするうえでコミュニケ―ション力に問題はないことを伝えましょう。
さらに、家庭の事情などで退職した場合も、正直に伝えたうえで、今後の仕事に支障はない旨を伝えるべきです。
なお、退職理由のすべてを言う必要はありませんが、言う内容については嘘をつかないようにすべきです。今後の信頼関係に影響が出ないよう、真摯な態度で面接に臨みましょう。
他にも、条件面を強調し過ぎないこと、表情や口調に気を配ることも忘れてはなりません。さらに、退職回数が多い場合は、一貫したキャリアプランに基づいてやってきたことをアピールしましょう。
退職理由は言いづらいこともありますが、それは面接官も承知の上です。仮にマイナスなことでも、それをどう受け止めて今後どうするつもりかの方が大事です。
今回ご紹介した伝え方を参考にして、無事に面接を乗り切ってくださいね。
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