※以下はコンビニアルバイト、フリーター（19歳)、バイト歴：約１ヵ月、女性の体験談です

セクハラとパワハラを知らなかった私

当時、研修期間中だった私は、50歳目前の店長から指導を受けていました。

店長は明るく、優しい人で、私は自分以外のアルバイト従業員の人から、「店長絡みがしつこいよね。大丈夫？」と心配されていましたが、皆が何を心配しているのか初めは分かりませんでした。

バイトを始めて1ヶ月程したある日、店長が私に「美味しいとんかつの店を知っているから、一緒にいかないか」と食事の誘いをしてきました。

しかし、当時は寝る間も惜しんで仕事をしていた為、誰かの為に費やす時間はなかったので、断る事にしました。すると、次の出勤日に店長が私に対し、怒鳴りつけてきたのです。

何を怒っているのかと驚いていると、タイムカードを5分前に押さないと怒っていたのです。今までは、「時間通りに出勤する様に。」と話していたのに、急にどうしたのかと思いました。

それから、その日は「レジ打ちが遅い」「塵が落ちてる」等、抽象的で何を改善したら良いのか分からない事で怒鳴られ続け、休憩時間に一息ついた時、気が緩み泣いてしまいました。

どうして怒られているのか、何故態度が急変したのか、考えても良い結果が出てきませんでした。そのタイミングで店長が休憩室に入ってきました。泣いている私を見て、「何があったの」と驚いているのです。

私は心の中で「お前のせいよ」と思っていましたが、そうは言えませんでした。この時はまだ、アルバイトを辞めたいと100％思っていたわけではなかったからです。

それから、相談を聞く様なフリをして、店長は優しく私に話しかけました。私が落ち着きを取り戻すと、店長はその日出勤していた皆の前に私を連れて行き、「俺は相談を聞いてあげたんだ」と言うのです。私は店長が怖くなりました。

そしてその次の出勤日から、店長が舎弟同然の扱いをしているバイトリーダーが、私に対し、「何カップ？」「生理は何歳から始まったの？」と聞く様になったのです。

私が止める様に言うと、「店長から聞く様に言われてるんだよ。分からなければ、俺クビになっちゃうよ」と言うのです。

そして、下世話な質問に答えずに10日程経ったある日、バイトリーダーが私ともう1人の女性アルバイトに怒鳴りつけてきました。理由は仕事が遅いとの事でした。

2人でバイトリーダーに謝罪をし、出来る限り仕事の効率を上げていると、店の電話が鳴りました。「電話の出方を後日教える」と言った店長の言葉を真に受けていた私は、女性バイトに「電話の取り方を知らなくて」と言い助けを求めました。

すると女性アルバイトは電話に気付かないフリをしていました。その反応を見て、私は電話は出なくて良いものだと判断し、無視する事にしました。

すると、バイトリーダーが私達の元へ来て、「電話出ろ！」と私に怒鳴ったのです。「電話の出方知らないので、教えて下さい。」と私が言うと、「いいから出ろ！」と再び怒鳴りました。

仕方がないので「もしもし」と電話に出ると、相手はオーナーでした。電話の先でオーナーは「もしもし、じゃねーよ！」とこちらも怒鳴っているのです。

事情を説明しても聞く耳を持ってはもらえませんでした。あからさまに仕組まれた事なのに、当時の私は馬鹿で、私がきちんと出来ないから全て悪いのだと思い、アルバイトを辞める事を決心しました。

電話で辞めると連絡し退職

バイトを辞めたいという悩みは、辞める事により解決しました。

最初の内、怒鳴られながら叱られた場合、きちんと頭を下げて謝罪し、自分が考え付く最大の知識で改善しました。

それでも怒鳴られてしまう場合には、その相手に対し、何処をどの様に改善したら良いのか指示を仰ぎました。

しかし、「仕事をきちんとしない」と口では怒っていますが、「気に入らない」から怒っているので、きちんとした指示が返ってくる事は1度もありませんでした。

これは、私の話を聞いてくれた友人の意見でした。これを聞いて、当時の私は納得する事は出来ませんでしたが、心の悲しい気持ちが少し和らぎ、それに関しては、一時期、辞めたいという悩みを解決できていました。

続いて、バイトリーダーにバストのサイズや初潮時期を聞かれ続けた時は、「止めて下さい」と最初の内は言いませんでした。正しく言うと、「止めて下さい」と言えませんでした。

当時、高校を卒業して直ぐ、男性と話をあまりした事も無かった私は、男性とまともに口がきけない上、その様な内容を連日言われていました。

返答に困ってしまった私は、話を聞こえないフリをするか、何処かへ姿を消す位しか方法は思いつきませんでした。

この行動を取るとバイトリーダーは私が彼を無視すると、周りに言い回っていたのです。この様な内容の悩みを、友人や家族に相談する事は恥ずかしくて出来ませんでした。

最後に、電話の1件では、事態の意味が分からなくなってしまい、謝る事も、怒る事も、悲しむ事も出来ませんでした。

何が起こっているのか分からない間に、「お前が悪い」と言われ、「そうなのか」と思ってしまいました。今思うと、そこまで追い込む事により、一種の洗脳に近い扱いを受けていたのかと私は思います。

いつまでもあのコンビニでアルバイトをしていたら、私も店長の下にいる彼らと同じ様になっていた、もしくは、いびられ続けていたのだろうと思います。

コンビニでのアルバイトをしたお陰で、私は3年以上、人間不信になっていました。誰も信じられず、相手の言葉1言、1言に対し、裏があるのではないかと思い、少しでも話の輪の外へ出されると、「彼らはグルで、私に嫌がらせをする気だ」と決め付けていました。

この様な考え方の人間に対し人は距離を置くに決まっています。それも理解出来なくなってしまう程、私は心にダメージを受けてしまいました。

しかし、あのコンビニのバイトを辞める事により、少しずつ心が癒されていき、今では仲間と協力して仕事をしたり、他人の悩みを解決する手助けが出来る様にまでなりました。

バイトを辞めてから3年以上は辛くて、家族と話をする事も嫌な程でしたが、今ではその体験も含めて、他人に優しく接する事ができ、信頼を集める事ができているのだと思います。

辞めたいのなら、誰に対しても遠慮は無用

世間はたかがアルバイトと言い、その程度の扱いをしてきます。しかし、そのたかがアルバイトが企業を大きくしているのです。

アルバイトは保障も無ければ、給金も安いです。それを企業を感謝しても良い筈ですが、きちんと定職に就けない落ちこぼれと言う目で見ています。

しかしアルバイトとして働いている私達はその程度の気持ちで働いているでしょうか。日々の生活の為、一所懸命働いている筈です。

自分が仕事として選んで始めたアルバイトを辞めたいと思うのですから、何か嫌な事、辛い事があるのかと思います。

私達の上司に付く人たちは、幸せにある程度はレールに乗れて人生を送れて来た人たちです。その人たちが、「少し位我慢しなさい」「ゆとり世代は根性なし」と言うでしょう。

それは会社員をしているからこそ出る言葉です。彼らは給料の他に、ボーナスや大入り手当て、残業代等、アルバイトには話す必要の無い金銭を会社から頂いています。

また、仕事を辞めるにしても、有給休暇を消化したり、失業手当を貰ったりと、我々が決して貰う事の出来ない様々な待遇を得ているのです。

これ程の恩恵に預かれるならば、少し位の我慢はするでしょう。

しかし、高卒でフリーターをしている様な私たちはレールに乗るどころか、断崖絶壁を登って生活しているのと同じです。生活している環境が違うのですから、彼らに自分の心情までは分かりません。

辞めたいと思ったのなら、辞めてしまえば良いのです。若いのですから、雇ってくれるアルバイト先はいくらでもあります。面接で1件目が不合格なら、2件行けば良いのです。

それでもダメなら、地域を変えたり、職種を変えれば良いのです。受かるまで毎日面接に行けば、採用にてくれる会社や店は必ずあります。

しかし、辞めたいと思う時、心は元気な時とは違います。何時も出来ていた事が出来なかったり、景色が暗く見えたりしてしまうでしょう。そういう時は少し休めば良いのです。

無理せず、でも意識は前進させなくてはいけません。いつまでも休んでいたら、ただの怠け者になってしまいます。

アルバイトを辞める際、「経済的に困窮しているから、直ぐには辞められない」「辞めるなら、1ヶ月前に告知しなくてはいけない」等、様々な辞められない理由があるかと思います。

しかし、辞めたいと思ってから我慢を続けると、それから暫く働けない程、心が痛んでしまいます。それこそ、時間もお金も無駄にしてしまうと私は思います。

「辞める」と言えば、社員は恨み言を言うでしょうが、私たちはたかがアルバイトです。1人くらいいなくなったって、会社は困りません。