その部署には女性事務が2人しかおらず、私と先輩だけでした。

その先輩は誰に対しても丁寧すぎるほど丁寧で謙虚で真面目で、時間がたっても馴れ合いというものは一切なく壁があり、私語を交えながら和気あいあいと仕事という感じは皆無でした。

すごく細かい人で何かにつけチェックが入り注意されました。

専門職なのでむずかしい事が多く、一度聞いただけではその時理解出来たつもりでも後になってやっぱり疑問が出てくるという事も多々あったのですが、質問すると｢以前にも一度お伝えしたと思いますが｣とイラッとされるので聞くのがイヤになって聞かなかったせいでまたミスをする、という悪循環でした。

ミスとまではいかない、少し方法を変えてみたり言葉を変えてみたりするだけでも注意が入り、先輩が言った通りの事を完璧にやらないと注意されるという感じでした。

そういう事が続くうちにそのうち先輩の頭の中で私は仕事の出来ない人間というイメージが固まったようで、｢以前にも言いましたが｣や｢以前にもやってもらいましたが｣と初めての事なのに先輩の勘違いで注意されるよう事も出てきました。

明らかに私の事を嫌っているんだろうなという感じで事務所では仕事のこと以外は一切の会話がなく、張り詰めた空気がただよっていました。

業務内容というよりはその先輩と一緒の事務所にいるのが苦痛で、毎日会社に行くのが嫌になりました。

このままではいけないと思い一度勤務後に食事に誘いプライベートな話でもして関係を改善しようとしましたがレストランでも勤務中のような丁寧で堅い態度を崩さず、話のはずまないまま食事会は終わり、その後の関係も一切変わりませんでした。

もうこれは続けられないと思いましたがお給料や勤務時間等の他の条件は良い会社だったので悩みました。

そこで、お金のために一年間だけ頑張って辞めようと決めました。

でも本当に辛い毎日でした。

日曜の夜が憂鬱で仕方がなく、毎朝出勤時には事務所のドアを開けるのに足がすくみました。

でもいつも頭の中に、｢一年だけ、一年たてば終わる｣との思いがあったのでどうにか頑張れました。

そしてどうにか一年もちこたえ、ある程度の貯金が貯まったところで予定通りきっぱりと辞めました。

もうその先輩と顔を合わさずにすむという安心と、最初の目標通り一年間頑張れた自分に対してすごく嬉しかったのを覚えています。

その後はリクナビNEXTで仕事を探し、お給料は下がったものの、精神的にはかなり楽な事務の仕事に就くことが出来ました。

仕事をする上で同僚との付き合いに悩むというのはよく聞く話ですが、自分の中で期限を決めてみるというのもありだと思います。

私の場合は最後まで変わらなかったですが、もしかするとその一年の間に何かが変わる可能性もあるかもしれません。