給料が下がってしまった時、頭の中に「転職」の二文字が浮かぶのは、ごく自然なことでしょう。「もっと給料の良い仕事に就きたい」と考えること自体は、決してまちがっていません。転職は、今のあなたの選択肢の一つですよね。
私も給料が下がった時に、転職を考えたことがありますから、あなたのお気持ちはよくわかるつもりです。
その時に悩んだ経験から、「安易に転職を決断しない方がいいですよ」ということを、あなたへお伝えしたいと思っています。その理由は3つあります。
①今の仕事のメリットを失う可能性があるから
「前々からずっと、転職したいと思っていた。給料が下がらなくても、転職したかった」というケースは別ですが、そうではなく、給料が下がったために転職を考えるようになったのなら、安易に転職を決断することはやめて、慎重に考えたほうがいいでしょう。
給料が下がりさえしなければ転職を考えなかったという場合は、今の仕事や職場自体に、大きな問題はないということになりますよね。
「仕事自体は別に嫌ではなく、上司や同僚との人間関係もうまく行っている」とか、「今の仕事はもともとやりたかった仕事で、自分の能力を生かせると感じている」というようなケースもあるでしょう。
そういうケースの場合、安易に転職してしまうことによって、あなたにとってのそうした仕事のメリットを失ってしまう可能性がありますよね。
転職先の仕事ではあなたの能力が生かせなくなってしまうかもしれませんし、今のような良好な人間関係を構築することがむずかしくなってしまうかもしれません。
ですから、一度、あなたにとっての今の仕事のメリットを考えてみてはいかがでしょうか。給料問題以外の、仕事とあなたの関係を、冷静に考えてみてください。
そして、今の仕事に小さくないメリットを見い出すことができるなら、転職は慎重に考えたほうがいいと思いますよ。
転職先でも今と同じようなメリットを得ることができるという保証はどこにもありません。
あなたにとっての仕事のメリットが失われてしまう可能性が小さくないこと、これが、安易に転職しない方がいい一つ目の理由です。
②金銭的条件にこだわった転職はリスキーだから
以前の私がそうでしたが、今のあなたの頭の中にある最大の問題は「給料」ですよね。給料が問題で転職を考えているのですから、「なんとかして、少しでも高い給料の仕事を探したい」と思っているに違いありません。
それは、ちょっと危険なことだと私は思うんです。そうした今の心理状態で転職をする場合、どうしても「金銭的条件にこだわった求人選び」になってしまうでしょう。
給料が下がったことが原因で転職するのですから、金銭面の条件を重く考えるのは当然のことです。
基本給が高いとか、昇給が期待できるとか、ボーナスが多いというような金銭面の条件が良い求人を探すのは、当たり前でしょう。
けれど、金銭面の条件がいいからと言って、働きやすい職場とは限りませんよね。
「確かに給料はいいけれど、とにかく仕事がきつい」とか、「残業時間がハンパではない上に、サービス残業を強いられる」というようなケースもありえます。
「金銭的な条件がよかったから入社したのに、ノルマがきつすぎて、とても続けられそうにない」とうこともあるかもしれませんよね。
逆に言うと、そのようなハードな労働環境であるために、金銭的な条件がいいということも考えられます。そうした仕事に就けば、確かに給料は良くなるでしょうが、心身両面で大きなダメージを受けてしまうこともあるでしょう。
金銭的条件重視の転職をすることには、そうしたリスクがあること、これも、給料が下がったからと言って、安易に転職を決めてしまわない方がいい理由なのです。
③今の仕事で給料アップできる可能性が小さくないから
給料がダウンしたということは、今の仕事をある程度の期間、続けているわけですよね。
「入社して2か月目に給料が減った」というようなケースもないわけではないでしょうが、多くの場合、それなりの期間仕事をしてきて、「給料ダウン」という事態に直面したに違いありません。
ということは、あなたには、「これまで今の仕事の経験を積んできている」ということになりますよね。
そうした経験をもとにして、今後もさらに経験を重ね、スキルを磨くことによって、昇格する可能性も生まれるに違いありません。
どんどん給料が下がり続けるというようなら話は別ですが、そうでなければ、今後給料がアップする可能性は大いにあると思いますよ。
転職してしまうと、新しい仕事を一からスタートさせなければなりませんよね。一からのスタート、あるいはゼロからの再出発になるわけですから、昇格するには時間がかかるでしょう。
今の仕事を続けていた方が、昇格、昇給の可能性は高いのではないでしょうか。
今の仕事をどれくらい続けてきているかにもよりますが、今後、給料アップの可能性が低くないというのが、あわてて転職してしまわない方がいいと私が考える理由なのです。
まとめ
給料が減った場合、転職が一つの選択肢であることは間違いありません。
けれど、安易にそれを決断してしまうのは少々リスクがあるのではないでしょうか。
もう少し時間をかけて、慎重に考えてみたほうがいいというのが、同じことで悩んだ経験のある私があなたにお伝えしたいことです。
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