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転職においては、自己PRは極めて重要であり、説得力と意欲をアピールしなければなりません。
採用側の立場になって考えてみましょう。中途採用の場合、何らかの必要性があって、新たに人材を確保しようとします。欠員補充や事業拡大などさまざまですが、多くの場合は即戦力を求めています。
また、長期的な視点に立って、若手の未経験者を募集することもあります。ただ、長い目で見るからこそ、ずっと自社で頑張ってくれる人材が欲しいわけです。
このように考えると、即戦力なら特に経験と実力に裏打ちされた説得力が求められますし、未経験なら前向きな意欲が必要とされるのです。だからこそ、それらを自己PRでしっかり行わなければなりません。
自己PRは、履歴書や職務経歴書の中の一項目として書く場合が多いでしょう。一方で、自己PRだけ独立して、1つの書類として作成するケースもありえます。それぞれの場合に応じて、書くべき分量は異なります。
ただいずれにしても、押さえるべきポイントは大体決まっています。そこで今回は、転職の自己PRの作成方法7つをご紹介しましょう。
①自分の資質
転職の自己PRの作成方法を考える際には、まず「自分の資質」を押さえることがポイントになります。
例えば、あなたが経理の仕事をしたくて転職するとしましょう。その場合、経理の仕事なので、当然細かい数字を扱うことになります。また効率性を重視しつつも、ミスなく正確に事務処理しなければなりません。
一方で、あなたが昔から数学が好きで、計画を立てて効率的に勉強を進め、テストでもケアレスミスが少なかったとします。そうなると、数字を扱える、効率性と正確性があると言えるので、そうした資質は大きなアピールポイントになります。
あるいは、あなたが営業の仕事への転職を考えているとしましょう。その場合は、当然お客様とのやり取りが発生します。また、そうした対外的な関係だけでなく、案件受注に向けて社内の調整も必要になります。
一方、あなたが社交的な性格で、人の悩みを聞いてアドバイスしたり、そのために誰かに助けを求めたりと、いろいろ動いてきたとします。そうなると、そこで培ったコミュニケーション能力、人を動かす力は、アピールすべき資質と言えます。
これらは一例ですが、元々備わっていて、これまで伸ばしてきた資質というのは、あなたの財産なのです。その中で、志望する仕事に合いそうな部分を見つけ出し、それを積極的にアピールしましょう。
②職務経験
次に、「職務経験」を押さえておかなければなりません。
まず、社会人になってからこれまでの経歴を振り返り、どのような経験をしてきたか整理しましょう。
例えば、あなたが一つの会社で10年間、人事部一筋で働いてきたとします。するとその間、さまざまな仕事を経験したでしょう。例えば、新卒や中途の採用、社員研修、評価会議運営、人事制度の見直し、給与計算や労務管理などです。
今後、他社でも人事部で仕事をしたり、あるいは人事コンサルタントになったりするつもりなら、その経験は強みになります。そこで、担当した仕事と自分の役割、期間などを整理しておき、自由自在にアピールできるようにしておきましょう。
あるいは、あなたが転職を繰り返してきて、複数の会社でさまざまな仕事をしてきたとします。例えば、1社目は銀行で法人営業、2社目は食品製造会社で営業、3社目は営業専門のコンサルティングをしていたとします。
その場合、業種や職種は異なりますが、「営業」という点では一貫しています。
それを生かして、今度の転職でもまた営業の仕事をしたいのなら、その点を特にアピールすべきです。その際、残してきた実績も強調すると、説得力があります。
とにかく転職の場合は、新卒時の就職と違って、職務経験があることが前提になります。採用担当者も「この人の経験がうちで生かせるか」に注目します。それをふまえて、職務経験はきちんと整理して、うまくアピールできるようにしましょう。
③習得能力
次に、上記の職務経験を通じて「習得した能力」も押さえておく必要があります。
例えば、あなたが飲料品メーカーで商品開発の仕事をして来たとします。
そうすると、日々の実験や研究を通じて、データ分析力、仮説構築検証力などを磨いてきたはずです。また、独創的なアイデアを生み出す力も身についたかもしれません。
そして今度の転職で、仮に業種が違っても、また商品開発の仕事をしたいなら、それらの能力は応用できます。公に出来る範囲で、これまで開発してきた商品を例示しながら、そうした能力があることをアピールしましょう。
あるいは、あなたがこれまで財務・経理担当として長年仕事をして来たとしましょう。そして、その過程で日商簿記検定1級を取得し、財務諸表の作成と分析のスキルを身に付けたとします。
それを生かして、財務コンサルタントに転職したいなら、そうした資格・知識やスキルは大きな武器になります。
学生が机上の勉強で得たのではなく、実務を通じて習得したものですから、説得力があり、よいアピールポイントになります。
このように、資格・知識、スキルと幅広い意味でとらえたうえで、職務経験を通じて獲得してきた能力は、あなたの強みになります。志望先の仕事に関連するものを重視しながら、積極的にアピールしましょう。
④自己啓発
次に、職務経験以外での「自己啓発」もポイントとして押さえておくとよいでしょう。
すでにお話したように、転職の自己PRでは、基本的には職務経験とそこで得た能力が重要になります。志望先での仕事に関わる経験と、今後生かせそうな能力をアピールすることが第一に求められます。
ただ裏を返せば、志望先の仕事に関わり、今後生かせるのであれば、職務経験や習得能力以外でも十分アピール材料になるわけです。そこで、自己啓発の話になるのです。
例えば、あなたが仕事上では経理の経験しかなかったとします。ただ、いずれは経営全般に携わりたいと考えて、自主的にビジネススクールに通って、MBAを取得したとしましょう。
そして、今回経営コンサルタントとして転職を考えているのなら、どうでしょうか。
職務としては未経験ですが、経営学の知識はありますね。また、自ら学び向上する意欲もあることがわかります。それは十分アピール材料になるのです。
あるいは、時間外や休日に、異業種の人と会ったり、時事的なテーマのセミナーに参加したりしているかもしれません。そうすると、視野が広がり、時代の流れにも敏感になり、新たなビジネスを生み出すという点でアピールポイントになります。
このように、仕事のオンとオフとを問わず、常に自己研さんに励んでいる姿勢を示すことが大切です。そうすれば、採用担当者も「うちに来ても、自分から学んで成長していってくれるだろう」と好印象を持ってくれるはずですよ。
⑤志望先への貢献
次に、「志望先への貢献」を考えることもポイントとして欠かせません。
自己PRという以上は、あなたの強みをアピールする必要があります。
そこで、これまで見てきたように、あなたの資質、職務経験、習得能力、自己啓発を述べて、説得力と意欲を示していくわけです。
ただもちろん、何でも訴えればいいというわけではありません。志望先としては、あなたを獲得した後に、そうした強みを発揮してもらい、自社の業績向上に貢献してほしいわけです。
それをふまえて、志望先での仕事に深く関わる部分についてのみ、そうした強みをアピールする必要があります。そして、それらを生かして、ぜひとも志望先のさらなる発展に寄与したい旨を訴えなければなりません。
例えば、あなたには社交性が元々あって、営業の経験を通じてコミュニケーション能力を習得し、仕事以外でも異業種の人々と交流を深めて来たとします。そして、今度の転職でも、営業の仕事に就きたいと考えていたとしましょう。
その場合、その強みを発揮して、志望先でも新規開拓をどんどん行い、既存取引先とも関係をさらに深め、売上高アップに貢献したいとアピールしましょう。そうすれば、採用担当者も説得力と意欲を感じ、採用してくれる可能性が高まります。
とにかく、相手の立場に立って考え、いかに相手の役に立つかを重視して、必要十分なアピールをすることが大切です。
⑥経験者としての自己PR
次に、経験者として応募する場合と、未経験者として応募する場合とでは、ポイントが少し異なります。まず「経験者として応募する場合」を見てみましょう。
この場合は、これまで見てきた強みの中で、特に職務経験と習得能力に重点を置いてアピールしましょう。以下、具体例を挙げていきます。
業種・職種の経験あり
第1に、業種も職種も経験がある場合です。
例えば、これまで経営コンサルタントとして仕事をしてきて、また別の経営コンサルティング会社に転職するケースを考えてみましょう。
この場合、戦略立案や業務分析、組織改革など、経営課題に関わるプロジェクトを多数経験しているでしょう。またそれを通じて、論理的思考力、問題解決能力、プレゼンテーション能力など、さまざまなビジネススキルも磨いてきたはずです。
すると、こうした職務経験と習得能力は、即戦力としてそのまま生かせます。また、経験者であることを条件に募集されている場合は、志望先もそれを望んでいるでしょう。その場合は、こうした強みをそのままアピールするのが賢明です。
職種のみの経験あり
第2に、職種のみ経験がある場合です。
例えば、アパレルメーカーで営業をしていて、人材ビジネス業界の営業に転職する場合、たしかに業種の点では未経験です。そのため、業種に関する経験は当然アピールできませんね。
それでも、営業という職種の点では経験があります。扱う商品やサービスが、衣類というモノから人材に変わるだけで、応用は利きます。お客様とのコミュニケーションの取り方や提案の仕方、社内の調整方法など、生かせる部分があるはずです。
そこで、主に職種の経験とそこで得た能力を中心にアピールしていきましょう。
業種のみの経験あり
第3に、業種のみ経験がある場合です。
例えば、銀行の支店で営業をしていて、銀行の本部で金融商品を開発する仕事に転職するとしましょう。この場合、銀行業界という点では同じですが、仕事内容が変わります。
それでも、同じ銀行業界にいたので、本部と支店の関係はわかっているはずです。
そうすると、支店の営業担当が何を考えて、本部に何を求めているか、大体予想はつきます。その経験を生かせれば、新しい仕事にスムーズに取り組めるでしょう。
このように、主に業種の経験があり、早く仕事に慣れることができる点をアピールしていくとよいでしょう。
以上、3つのケースを考えてみました。いずれにせよ、業種や職種で少しでも重なる部分がある場合は、そこに着目し、生かせる経験や能力をアピールしていってくださいね。
⑦未経験者としての自己PR
次に「未経験で応募する場合」のポイントを押さえていきましょう。
この場合は、未経験なので、職務経験と習得能力をアピールするのは難しくなります。
そこで、これまで見てきた強みの中では、自分の資質や自己啓発に重点を置いてアピールすることを心がけましょう。
例えば、あなたが自動車メーカーの人事部で長年仕事をしていたとします。その状態から、人手不足で採用ニーズの高い介護業界に転職し、介護士として頑張ろうと思ったとしましょう。
そうなると、業種も職種もまったくの未経験なので、職務経験や習得能力ではアピールがしづらくなります。
しかし、あなたが元々人と接することが好きで、対人関係で円滑にコミュニケーションが取れるとします。また、仕事以外の時間を使って、介護士やヘルパーの資格取得に向けて勉強を続けているかもしれません。
その場合は、そうした資質や自己啓発は、前向きな意欲として評価されるはずです。
また、元々「未経験でも応募可」として募集しているのなら、むしろそうした積極性のほうが中心にチェックされるはずです。
もちろん、こうした未経験の場合でも、職務経験や習得能力で応用できそうなものがあれば、それもアピール可能です。人事部にいたのなら、社員とのコミュニケーションを取っていたはずなので、要介護者との関係構築にも生かせるでしょう。
とにかく、未経験だからといって諦めてはいけません。
経験がなくて説得力に欠ける分は、やる気とそれを裏付ける資質や行動を前面に押し出していきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
これまで、転職の自己PRの作成方法7つをご紹介してきましたが、何か1つでもお役に立てることがありましたでしょうか。
転職は、あなたという価値ある商品をプレゼンする場です。資質、職務経験、習得能力、自己啓発など、自分が持つ強みをよく分析しましょう。そのうえで、それを生かして志望先に貢献したいということを、強くアピールしてください。
また、特に経験者なら、豊富な職務経験と、そこで培った習得能力が強みになります。業種や職種で少しでも重複する部分があれば、そこに注目し、生かせる経験や能力をアピールしていきましょう。
一方未経験者でも、元々の資質と積極的な自己啓発ならアピールできます。元々未経験者可という募集条件の所なら、そうしたポテンシャルを重視しますから、経験よりも熱意を前面に押し出していきましょう。
いずれにしても、志望先のニーズをしっかり把握して、それに少しでも重なる所を探し出し、それを強く訴えていきましょう。
傲慢になってはいけませんが、謙遜し過ぎると自信がないと思われます。謙虚に、かつ堂々と、自分をアピールしていってくださいね。
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